【今日の記事のキーワード】
・サックスのレはなぜ裏返るのか?
・練習すれば裏返り現象は無くなるのか?
・どうやったら確実に裏返りをなくせるか?
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こんにちは!
ラッドミュージックスクール学長の瀬戸郁寛です。今日はサックスのお話。アルトもテナーもバリトンもソプラノも。
「先生~~~レの音が裏返りまくってストレスです~」
僕の教えている初心者のサックス生徒の方々から必ず聞く悩みです・・・
レ、僕も昔はめちゃくちゃ裏返ってましたよ!僕の今使っているアルトサックスは35歳越えですけど、当時僕が高校生時代はめちゃくちゃ裏返ってました。今は全く1回も裏返りません。使っている楽器が原因ではないのがこの事実からわかりますね。
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それではなぜサックスのレの音は裏返る(倍音が出る)のか?理由は様々ある。
楽器の構造上、レの音は倍音が出やすいのは仕方がないとして・・・
他にどのような原因があるかを具体的に探っていこう。ちなみに原因は100%物理的要素です。精神的要素は一切無関連なので、万が一そんなことを言うヒトがいたら、ガン無視しして距離をおきましょうね。www
あと、練習時間を長くしても全く無意味であり、改善されることは一切ないので注意。別に練習時間が少ないから裏返るわけじゃないです。www
【サックスのレが裏返る理由一覧】
1、演奏時、右手の指の方が左手の指より先に降りている
2、タンポに致命的リークがある
3、下唇が歯の力でリードを噛んでいる(多分この原因が一番多い)
4、倍音の喉の形になってしまっている
5、タンギングしすぎ/しなさすぎ(初心者だけに適応)
6、楽器が新しすぎる(時間経過により改善)
7、リードが3半以上&マッピのティップが狭い組み合わせはダメ
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6番目の理由、「楽器が新しすぎる」以外の要素は全て解決できますね。
なお、間違った分析として
息のスピードが早すぎる・思いっきり息を入れすぎ
という原因がネットなどに出回っているが、デマである。完全に間違っていますので注意!
息のスピードが速かろうと、息の量を思いっきり入れようと、タンギングしようとしなかろうとレは普通に出るモンです。上記の1~7の理由を全て解決すればレは普通に出ます。
それでは早速1、3、4、5番目が正しくできているかを総合的に判断できる練習方を紹介しましょう。
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最大の音量、記号で表すならばffff!!(小さい音だと正しく判断できないので)
初めはゆっくりと、そしてどんどんテンポを上げていってください!
初期段階においてはタンギングは絶対にしないこと。タンギングすると要素のチェックが行えません。
さて、レの音は裏返りましたか??
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裏返って倍音が聞こえてしまうようなら、一つ一つ要素を改善していきます。
1、レを弾くとき、左手の指3本を故意に先に降ろして、直後に右手の指3本を降ろす。要するに右指と左指に若干のタイムラグを生じさせてあげる。これはもちろん正しい演奏法ではないのだが、まずこの方法を試してみよう。これによって音が裏返らないのであれば徐々にタイムラグを減らしていき、最終的には右指も左指も同時に降ろす訓練をする。
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それでもなお裏返り現象が改善されない場合、次の要素に進みましょう。
次は4番の喉の形です。
レを弾くときにレよりも高い周波数の喉の形になっている場合、裏返る傾向にあります。
これはどうやって確認するかというと、まず正しいレの音程で
「レーーーーーーーー」と実際に声に出して歌ってみましょう。
その喉の形のまま再度挑戦してみてください。
つまりレの周波数よりも高い喉の形になってしまっていたらサックス本体が倍音を鳴らす周波数だと勘違いして、倍音にロックオンしてしまい、レの音が裏返ってしまうのです。
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ここまで来ても裏返りが治らない場合・・・
3と7の要素、これは密接に関連しています。いわゆる吹奏楽系のサックス奏者の方々は日本でしか通用しない間違った吹奏楽の歴史のせいなのか、はたまた先輩からの受け売りなのか、リードをどんどん固くしていく傾向にありますね。3半とか使ってる人が大半!ひどい場合にはサックスのクラシック系のプロの方々も下の歯にリップガード?とかいう意味不明のガジェットを装着している。
えええ・・・。それじゃますますコントロールできないじゃん・・・。
それに対して我々ジャズ系のサックス奏者はマッピのティップが最大限に広い物にどんどん変更し、リードは硬くても2半。百歩譲っても3の硬さ。この組み合わせが音をコントロールするのに最善策であり、レの音も裏返させない最強の組み合わせ。
なので、演奏していて下唇に歯の形がついてしまう人や唇が痛い人は思い切ってマッピとリードを新しい組み合わせに取り替えてみてください。(近くにいるジャズ系のプロの意見を必ず聞いてからにしてください)
ちなみに下唇が痛くなるのは致命的なサックスの間違った演奏方です。正しいアンブシュアだと8時間ぶっ通しで演奏しても全く痛くないです。歯型すらつきません!歯形がついたら確実に間違ったアンブシュアです。正しいマッピとリードの組み合わせにすると解消されるはず。(必ずジャズ系のプロのレッスンを受講して正しいアンブシュアにしてください!)
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これでもなお裏返ってしまう場合は最終手段。タンギングのチェックです。
レを弾くときに軽~~~~~~くタンギングをしてみてください。あくまでも軽くですヨ。タンギングによって周波数が完全にリセットされるので、裏返りが少なくなります。(そして最終的にはタンギングを全くせずに裏返らぬよう訓練するのは言うまでもない)
が、これはあくまでも最終手段。
なぜなら本来、タンギングをしようとしなかろうと、ましてやタンギングの強さ等は全く関係ないはずだからです。実際に僕はめっちゃくちゃ大音量でカツ~~~ンとアタック入れてレを連発したりしますが、一切裏返りません。数年に一度裏返るか裏返らないかのレベル。www
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時間はかかりますがこの順序で一つ一つの要素を潰していきましょう。これでもなお音が裏返って倍音が出てしまう場合は・・・
楽器をリペアや調整に出して、リークを完全に治してくださいまし。
それでもなお裏返りが続く場合は、楽器が新しすぎる可能性があります・・・要素としては5%程度しかないのですけれども。
これに関しては賛否両論ですが、楽器選定を多く行う僕としては新品ピカピカの楽器だと倍音が出てしまうことが多いですね。もちろん楽器によって異なりますが、その場合は我慢する以外方法がないですね。正しい演奏法を続けていると次第にサックスがレの響きの振動に慣れてくるという感覚があります。こればっかりは完全に物理学なのでなんとも言えないところですね。
さあ、レの呪縛から逃れて思いっきりサックス演奏ができるようにチャレンジしてみてください~~。
これでもなお裏返りの恐怖から逃れられない方は是非僕のオンラインレッスンを受講してみてくださいな。w
それではまた次回!
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■著者について

株式会社Radwave代表取締役、ラッドミュージックスクール学長。ジャズを本気で教えて16年。
幼少期より海外で育つ。バークリー音大卒。ジャズに魅了され30年弱。映画音楽作曲やレコーディングなどを含め、多岐の音楽活動に携わる。ジャズが演奏できるようになる一歩一歩の自己成長プロセスに感動し、それを伝えるべくラッドミュージックスクールを立ち上げる。耳が良すぎてジャズ理論はほぼ全て耳から習得。特技は他人が演奏したフレーズを1音残らず瞬時に分析する力。最近はジャズ以外のレコーディングやライブに多く携わっている。現在は日本とマレーシアを行き来しながら音楽活動を行う。海外にて各種音楽賞を受賞しまくる。ちなみに生業の一つとして芸能界の英語通訳もしている。好きなものはビールとドリアンと未知へ切り込む冒険心。
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